中小企業等における子育て支援制度の整備並びに実施について、前述の計6回の両立支援セミナー参加企業を中心に県内企業(女性部会員等)を対象にアンケートを実施しました。(回収数464社 )


【アンケートの概要】

今回の対象企業は、従業員数300人以下の中小企業が全体の約94%*を占め、就業規則作成が義務化されていない10人未満の小企業も169社、約36%であった。そのため、質問に答えきれず、各質問にその他意見・無回答が10〜30%あった。ただし、この場合も、子育て支援の利用者がいないわけではなく、「その他意見」の「制度・規則は未整備だが、随時利用者がいる。」に掲載されているように、就業規則等に明文化はしていないが、従業員の必要に応じて柔軟に対応している企業もある。また、「子育て支援の対象となる従業員がいない。」との声も多く聞かれた。

 Q3「育児休業制度」について、全体の約10%が法定を超える制度を導入しているようである。過去3年間に実際に育児休業を取得した女性従業員がいない企業が約70%になっているが、これは制度が活用できていないというよりは、子育て期の対象従業員がいなかったためととらえる方が適切だと思われる。男性の育児休業取得者は、0.9%(全国平均0.5%:厚生労働省「女性雇用管理基本調査(17年度)」による)であるが、全体の4社であり、取り組みが最も進んでいないところであると思われる。

Q4「子の看護のための休暇制度」について、労働者1人につき取得可能な日数・対象となる子供の年齢、ともに育児休業制度と同じく全体の約10%が法定を超える制度を導入しているようである。

Q5「育児のための多様な制度」について、各企業とも柔軟に対応しており、短時間勤務制度 、始業・就業時間の繰上げ・繰下、所定外労働の免除は各々約30%の企業に制度があり、勤務時間への支援制度は比較的取り入れやすいようである。変形時間制のフレックスタイムも約11%の企業が導入しているが、在宅勤務制度は労働管理の難しさもあり約2%にとどまっている。経費助成措置も約4%で低く、コスト面での中小企業の厳しい現実がうかがえ、事業所内託児所については、運営面で大きな経費が必要なことから1%にとどまっている。

なお、制度有り中、3歳以上の子にも利用可能な企業が約60〜80%とあり、対象年齢にはかかわらず柔軟に対応している企業が多いと思われる。

Q7「妊娠・出産・育児・介護を理由に退職した従業員の再雇用」について、約15%の企業に制度があり、検討中と併せると約35%になる。また、過去3年間に約10%が実際に制度を利用している。なお、制度がなくても実際の利用者がいる企業もあると思われるのでこの数字よりはもう少し高くなると思われる。

今回のアンケートにより、企業の子育て支援は、大企業には取り組むことができても、中小企業には非常に難しい課題が多いと痛感されるが、急速な少子化の進行の中で、企業・働く者・行政・地域が一体となり取り組んでいく必要であることから、両立支援に取り組もうとする中小企業が実感できる国・地方自治体のより一層の厚い支援や利用しやすい助成、社会的な評価の仕組みの充実が求められる。

*愛媛県の平成18年10月1日実施調査によると300人未満の中小企業数割合は約99.9%



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